折原恵のニューヨーク写真日記 - New York Photo Diary by Kei Orihara

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2011年 11月 22日

Occupy Wall Street ウォール街を占拠せよ 3

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サポーターがマンハッタンの至る所でパソコンからプロジェクターを使ってビルの壁面に言葉を投影している。
橋の車道からはクラクションが鳴り続ける。

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Occupy Wall St.の運動が始まってちょうど2ヶ月の呼びかけに応じてデモに行ってきた。
いつも送信してくるグループのメールには、シティホール(市議会ビル)の近くのF公園に5時に集まってブルックリンブリッジに向かうと書かれていた。

シティホールの地下鉄出口の階段途中から、かなりのザワメキが聞こえてきた。
大勢の人たちが横断幕やプラカードを持ってうろうろしている様子。
ニューヨークの5時過ぎは、もう真っ暗。どうなっているのかぜんぜんわからない。
暗闇の中に「車道に出た歩行者は逮捕する」という赤々とした大きな警告文字がフラッシュしている。
それにしても、ものすごい数の警察、騎馬隊、待機する護送車、報道のワゴン車。
めざす方向に歩を進めると、歩道がフェンスで閉ざされていて交差点を渡れない。反対側から回るとまたフェンス。交通止めになっている車道に出ると、ポリスに押し戻される。
「大勢は向こうの方に集まっているらしいよ」と言いながら、どうやら皆、行き道を失っているようだ。
ヘリコプターが大音響で上空をひっきりなしに旋回している。しかし、人びとはじつに大人しい。

仕方がない、地下鉄駅構内から反対側の出口に出てみた。知らない風景にしばらく物珍しさであたりを歩いていたら、完全に道に迷ってしまった。
このあたりの街路は碁盤の目じゃないし本当に暗い。何であんなに闇雲に歩き回ったのかわからないけど、(何か、警察や人に聞きたくない気分で。いや、なぜか群衆ではなく誰もいない夜の街にいたくなったのだ)寒空を一時間以上うろうろして、もとの地下鉄駅構内に下りたら、大勢の人が改札口に戻って行く。自分もすでに疲れ果てているように感じて、もう帰ろうかと思った。
いやしかし、と、もう一つの出口を見つけて上って行った。

そこから遠くに、橋を渡る大勢の人たちの頭だけが黒々と見えた。どうやらここから近づけそうだ。
しばらく歩いて、すんなりとデモの波に入れた。
いつもの、”Occupy Wall Street! ” , "We are the 99%!" を歌うように唱和する若者たち。
橋のボードを歩き始めたら、”もう途中で戻ることはできないんだよ” と大げさにも自分に言い聞かせた。
まさかこんなことでブルックリンブリッジを初めて歩いて渡ることになろうとは夢にも思わなかった。どれくらいの距離があるかということさえ知らないのだ。(あとで調べたら1、8キロだった)

じつはちょっと不安だった。10月にここで700人が逮捕されているのだ。
私は逮捕されても明日の仕事に差し支えるわけではない。IDやカードの類いは一切持ってこなかったけれど、しかし、へまをやってバレたら、移民ビザに影響 するのではないか?  逮捕されたら絶対に黙秘を貫くんだよ、と言って送り出してくれた夫に、けっきょく迷惑をかけるのではないか? と、つまらないことを考えていた。
この橋を渡った向こうに警察が待機しているのだから、ちょっとしたいざこざで、どんな事態に巻き込まれるかわからないのだ。

運転席から人びとの頭の群れが見えるらしく、たくさんの車が窓を開けて親指を立てたりクラクションを鳴らしたりして、応援の姿勢を見せる。デモの姿が見えているかぎり、ずっと、クラクションが途切れなく聞こえていた。
かなりの人たちがOccupy Wall St.にシンパシーを感じているのだ、と思う。

年配の男女も多い。知識人然とした熟年の人たちもけっこういる。黒人、ヒスパニックの顔もずいぶん増えた。
よーく見ていると、一人で歩いている人たちの何と多いことか。
友達同士和気あいあいと、とか、グループ活動、みたいな雰囲気がぜんぜんない。
ただ、ひとりひとりが歩くことを選んで、ここにきている。クラクションの音に励まされて、黙々と歩いている。

どこに向かっているのかわからない運動。けれど、 きょうは、とりあえずこの橋を渡る。
黙って歩いている皆は、どんなことを思っているのだろうか。
" Show me, what democracy does look like! This is, what democracy does look like!!"
このかけ声は、いつも私を泣かせる。
ドライバーたちに手を振ったら、涙が出てきて止まらなくて困った。

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ブロンクスからきた高校生たち。
大学の授業料は高く、黒人の大学入学者数は、黒人の刑務所入所者数よりはるかに少ないという現実。



ニュース”Democracy Now!" (日本語要約版)によると、
朝からウォール街の証券取引所の閉鎖めざして実力行使をした人たちが大量に逮捕された。昼にはユニオンスクエア、クーパーユニオンなどの大学周辺で集会の人びとが道路を埋め、ここでも逮捕者が出た。タイムズスクエアでもデモ。夜は閉鎖されていたブルックリンブリッジを逮捕覚悟の座り込み戦術で突破し、32000名が橋を渡るデモンストレーションがおこなわれた、と。逮捕者計250名。デモ、集会参加者は、マンハッタン中に拡散していて、何万人いたか数えきれない数になっただろうと思われる。
コロンビア大学、ニューヨーク大学などの年間授業料が500万円くらいする大学に通い、卒業したら1%に入る予定の学生たちは、ひっそりと沈黙を守っているようだが。

厳冬のニューヨークをはさんで、この運動は熟成され、春にはもっとすごいうねりとなってこの国を覆い尽くすかもしれない。人びとの暗くシリアスな顔を見ていて、持続の可能性を信じずにはいられなかった。
これは凄いことになるかもしれない、さっきの疲労などとっくに忘れて、私はちょっとした興奮を覚えていた。

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by keiorihara | 2011-11-22 17:59 | New York | Comments(0)


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