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折原恵のニューヨーク写真日記 - New York Photo Diary by Kei Orihara

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2015年 02月 22日

ジャーナリズムって?

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ジョージア州にいたころ、わたしが住んでいた町の州立ジョージア大学に、首都圏の某国立大学から交換留学生としてきていたジャーナリズム専攻の女子学生と、あるパーティで知り合った。
将来のことを聞くと、ジャーナリストになりたい、新聞社に就職したいと堂々と答えた。
背が高くスリムで知的な顔立ちをした、日本のメジャーの新聞社やテレビ局に確かにいる毅然としたタイプの女性である。

それで、こういう人は、アフガン戦争とイラク戦争について、どんなふうに思っているだろうかと興味が湧いて、どう思う? と聞いてみた。
「それについては2つの説がありまして、、、ひとつは、、、」
と教科書みたいな口調で話し始めて、しかもそれが”説”でもなんでもないお粗末な話だったので、
「あなたはどう思う? って聞いたんだけど」
と、そもそものその戦争の起こりの間違いを話しはじめたら、彼女は即、こう言った。
「あそこでアフガニスタンに報復しなかったら、世界はどうなっていたと思います?  それに、それって政府を批判することになるんじゃないですか? 」
「えッ? 」
わたしは絶句してしまった。

「そうよ、批判しているのよ。ジャーナリズムっていうのは、政府がやっていること、やろうとしていることを見張って、間違っているときは批判するのが役目でしょう?」というと、
「いえ、 ジャーナリズムは政府が決めたこと、やっていることを正しく伝えるのがジャーナリズムじゃないですか。あまりに正しく伝わってないことが多いんです。少なくともわたしはそう教わりました」
と。
ふたたび絶句。こんな考えの持ち主が、ジャーナリスト志望? アメリカの共和党の人が言ってることそっくりそのままなのだ。
そこで、なんとかもう少し勉強してほしいと思い、本は読んでる? どういう本を読んでるの?  と聞いたら、
「本はあまり読むのはすきじゃないので、ほとんど読んでないです」という。
アメリカの大学生は、毎週毎週、課題のために本を読まされてレポートを書くのに忙しく、好きな本を読むヒマもない、という話はよく聞いていたから、いまは論文のための英語の本は読んでいるにちがいない、とは思った。
この人は、学力があって、英語ができて、国際情勢や社会情勢についてニュース用語辞典に書いてあるとおりのような答案が書けて、就職試験をパスして大手の新聞社なんかに就職してしまうのかもしれない。きっと、そうだ。
しかし、ジャーナリストになりたい人が、「本をほとんど読まない」というのは、あり得ない話というか、発想というか。

家に帰って、夫にそのあきれた話をしたらぜんぜん驚かず、「アメリカのジャーナリズム科は、そういう風に教えてると思うよ」という。
9.11以来、CNNなどのニュースが、映像と裏腹のことを平気でいうのを聞いてから、アメリカのジャーナリズムって変、と思って、わたしはまだ東京に住んでいたけれど、彼にそんなふうに話したことがある。すると、
「そもそもアメリカでは、テレビのニュースキャスターになりたいという人は、お金にしか興味のない人だといえる。給料がすごくいいから、すぐにアッパーミドルの暮らしができるし、有名になれる。でも、平気で嘘がつけるひと、というのが条件だよ。メジャーのテレビ局や新聞社の報道局というのは、真実を追求していたら勤められない所だよ」と。

その時、日本はそこまでは、、、と思っていたけれど、しかし、このような人たちがいまは日本のマスメディアで活躍しているのかもしれない。
私たち、ひとりひとりが政府だけではなく、マスメディアさえも見張っていなければならない時代になってきたように思う。
そうなると、ひとりひとりがモノ申すよい方法が作り出せないかと思ったりするが、、、毎日ツイッターとにらめっこしている若者たちこそ、ある日、 なにかとんでもないアイデアを創造して、馬鹿げたイジメ戦争の仲間入りをしようとする体制の動きを食い止める力となってくれないかと夢見たりするのだけれど。

by keiorihara | 2015-02-22 14:39 | USA


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