折原恵のニューヨーク写真日記 - New York Photo Diary by Kei Orihara

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カテゴリ:New York( 24 )


2011年 11月 11日

ニューヨークシティマラソン New York City Marathon

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自転車のペダルを手で漕いでいる格好。ハンドサイクルという。


ニューヨークマラソンを見たいと思った。
「明日はニューヨークシティマラソン、46000人のランナーよ」 と友達に聞いた瞬間、見たい! と思った。
村上春樹のエッセイのせいだったかもしれない

ずいぶん昔の話だけど、マラソンランナーの心の内側を切々と語ってくれたのはバルセロナとアトランタオリンピックのメダリスト有森裕子で、スポーツ雑誌の「ナンバー」で彼女へのインタビューを読んだ。
個人競技者(挑戦者といったほうがいいかもしれない)というものは、こんなに切実なものかと驚き、彼女の軽くない心の持ちようが切なく、とても記憶に残った。

そのことを最近、村上春樹のエッセイを読んでいて思い出していたのだ。
(クイーンズの図書館本館には日本語の本もあるというのでチェックしたら、村上春樹の最新のエッセイ集『雑文集』があったので、歩いて3分の図書館に取り寄せた)
彼がニューヨークマラソンを走ったときのことが書いてあった。
そして、マラソンの”魔力”について、あの有森裕子が語ったのはこんなことだったのだな、と思わせる文章があった。
フルマラソンを走り終えると、どんなに数字的にいい結果がでても、42キロの間にはいろんなドラマがあって、なにかしらの悔いが残るもので、その悔いをはらすためにまた挑戦せずにはいられないのだ、と。

ニューヨーシティマラソンに戻そう。
写真を撮るならクイーンズを走るとときにしよう。クイーンズの風景を背景に、と。
うちから三つ目の地下鉄駅からコースの道に行ける。ブルックリンを走り抜けて中間を少し超したくらいの地点。

Queensboro Plaza クイーンズボロプラザ駅をおりて、すぐ目の前に飛び込んできたのは車椅子自転車。私は、この初めて見るハンドサイクルの先頭、または大勢をミスったのだ。

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あとでニュースで読んだのだけど、車椅子の部では、1位と3位を日本人が獲得していた!
これはゼッケンに国名も入れないし、まったくの個人競技。
なのに、日本人が入賞と聞くとやっぱり嬉しいものですね。(来年は車椅子の部のゴールを見に行こう。)

参加だって、その日の出発9時前に申請すればいい、という自由さ。
参加者は事前の発表は46000人で、結果は47000人だったのは、1000人はその日の朝に登録した人(参加費を払った)ということですね。

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向こうから女子の第一走者が見えてくる。
この人は 結果3位になったケニアのMary Keitany。

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右から2位になったBuzunesh Deba。 この人はニューヨーク在住だけどエチオピア国籍。
次は6位か7位のケニアのキャロライン。
そしてその向こうに優勝したエチオピアのFirehiwot Dado。 2位との差はわずか4秒。
左は13位になったエチオピアのWerknesh

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飛んでいます。このひとはケニアのもうひとりのキャロライン。ふたりは6位と7位だったのです。

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そこにトボトボと、と見えますが、力の限り走っています。東洋人っぽく見えますがわかりません。

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すごくいいのは、あちこちに音楽サポートしているバンド。声援が少ないところでも、活気づきます。
このバンドは高校生たちのよう。

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ボランティアの数に気を取られていて、向こうに見えているのは男子の先頭ではありませんか。

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こんなキツい顔をしているのに、、、この人はゴールまで風船を持っているのでしょうか

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走者をずっと見ていて、年配の人の数の多さに驚きました。42キロ走るって、、、現場で見て、改めて感動。ニューヨークマラソンは、登ったり下りたり大変らしいです。ここも少し上り坂。80歳の日本人男性イチローさんが完走したそうで、頭が下がります。

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村上春樹は走っていないだろうか、と思ったけど、人が多すぎて見つけるのは絶対無理。こんな子がいたけど。

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過去に”ミスUSA”だったらしい人。やはり、どんなときも勝ち誇った顔をしているんですね。

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バンド名入りの大きなバンボディのトラックが後ろに止まっていて、かなりプロっぽいバンドです。

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ここから、クイーンズボロ•ブリッジを渡り、マンハッタンからブロンクス、そしてマンハッタンに戻り、最後はセントラルパークを走りゴール。4つの区を全部走るのです。

来年はセントラルパークに行こう!
生まれて初めてマラソンの現場を見た私でした。
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by keiorihara | 2011-11-11 15:34 | New York | Comments(2)
2011年 10月 05日

Occupy Wall Street ウォール街を占拠せよ

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 太鼓の音とシュプレヒコール  
 ♪ Show me! what democracy does look like!  
 ♪  This is! what democracy does look like!
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♪ Bank got bail out! ♪ We got sold out!
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♪♪ We are the 99 %!!
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Liberty Square Park

前日の日曜日、ブルックリンブリッジの車道でデモ隊の中から700名が逮捕された。
このところ毎日雨が続いたにもかかわらず、” Occupy Wall Street" の運動は少しずつふくれあがっているらしい。
3週間目、全国30都市にひろがっているという。
ネットで見ても、ポイントのはっきりしないデモだなあと思ったものの、やはり行ってみなければわからない。

ウォールストリートはもしかしたら初めて歩いたかもしれない。ビルの大きさに比べて意外と狭い道だ。
証券取引所一帯は車道がロックアウトされ、デモ隊は広がって歩くことができないようになっていた。
デモの拡大を恐れて、すでに9月17日にフェンスが張られたそうだ。
証券取引所の向かいの旧JPモルガン銀行の空きビルでアートショー をやっていたのでそれを見ていたら、聞こえてきた。太鼓の音に合わせてシュプレヒコールを唱える人びとの声が。
急いで外に出たら、どういうわけか胸がバクバクしている。
小雨が降り続いている。
昔の日本の学生運動のように、腕を組んで激しく走るデモではない。
ゆっくり歩きながらその速度にあわせて、まるで歌うように声を合わせている。しかし、声は力強い。
太鼓のリズムがじつにいい。
各プラカードを読む。唱和が聞き取れないので、なんと言っているのか声をあげている人たちに聞く。
一緒に雨の中を歩く。1ブロック、2ブロック。たくさんの警察官のオートバイが横をとろとろと動く。
なぜか目が潤んで、感情が揺さぶられている自分に気づく。なぜだろうと思うけれど、わからない。

プラカードには、1%の資本家たちに握られているこの国の体制を終えよ!  職を与えよ、国民健康保険、学生ローンの救済、学費値下げ、税金を銀行家に渡すな、国民のために使え、税金で人殺しをするな、、、、国民の99%は怒っている!  と、ありとあらゆる抗議が書かれている。
リーダーが全然いない。闘争目標がまちまち。
ちょっときびしいなあ、と思う。

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We are The 99 Percent!

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ウォールストリートの人とデモの人たち

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Liberty Square Park

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これからニューヨークは長いきびしい冬が始まる
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by keiorihara | 2011-10-05 15:49 | New York | Comments(0)
2011年 09月 13日

9/11 ナインイレブン

ジョージアにいるときは気にもとめていなかったのですが、ニューヨークにいるとやはり落ち着きません。
若手の作品を展示する美術館 MOMA.PS1と写真の美術館ICPが、September 11 のメモリアルの展示をやるというので見に行きました。

どちらにもがっかりしました。
PS1では、”あの悲惨なできごとをもう一度思い出すために”というキューレーターの企画で、” フィジカルに、エモーショナルに”、思い出すのに役立ちそうな作品を一人1点ずつならべたもの。
作品のほとんどは9/11以前に発表されたもので、破壊された車の残骸、風に飛ぶゴミが写っている写真、工業機械を焼いたあとの灰など、見ながらどういう語呂合わせなのだろうというゲームをしているようで、その作品の当初の意味を完全に殺してしまい、安易で浅薄に感じました。

ICP も同じく、”Remembering 9/11 Ground Zero ” とタイトルされています。
"National September 11 memorial Museum" との共同開催で、いわば政府へ協力した仕事。
FEMAの依頼で現場で働く人などを撮った写真家のドキュメントと、もう一人はスライドショーで、空港の格納庫に納められたツインタワー崩壊後の残骸をこれも当局の依頼で写したものでした。(広島の原爆遺品の写真の撮り方を彷彿とさせましたが)

若いアーティストが 9/11をどうとらえているか、どんな発想で驚かせてくれるか、と期待したのが間違いでした。
しかし、これほど政治的な事件にたいし、狂信のテロリストが起こした悲劇、としかとらえないアート、写真など、何の意味があるでしょうか。このことによって引き起こされたアフガン戦争、イラク戦争について言及することなど皆無なのです。あれほどたくさんの疑問の残る事件について、おかしいと思わない人はそんなに多くないはず。しかしアートがこれなのですから、9/11はアメリカの新しいタブーというものなのでしょう。
ならば、はじめから関わらなければいいのにと思いますが、アートも今はアメリカの大きな産業ですから、そんなものなのでしょう。

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 PS1 の窓から。とても曇った日でした。
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 作品ーへこんだ車体の一部
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 窓の外の方が面白い
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そのあとに行った、バッテリーパークと昔呼ばれていたグラウンドゼロとハドソン川のあいだの埋め立て地、いま呼ぶところのロックフェラーパークでおこなわれた 9/11 記念のパフォーマンスはよかった。
これは1958年初演のモダンダンス。(あるいはポストモダンの古典?)
幾つものグループが出たのですが、洗練されたものを見ると政治なんか忘れてしまいます。
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by keiorihara | 2011-09-13 16:50 | New York | Comments(0)
2011年 09月 07日

West Indian American Day Carnival

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きょうはちょっと、ブルックリンの話。

毎年9月最初の月曜日のLaybor day(労働者の日)に、ウェストインディアンカーニバルのパレードが、ブルックリンの真ん中にあるイースタンパークウェイで行われる。 カリブ海出身の黒人たちのお祭りだ。
30年前に写真を撮りにいったので、いまはどうなっているだろうと思い見に行った。
そのころはカリプソやサルサが全世界的に流行っていたし、音楽はラテン一色だった。大型トラックに1バンドずつ乗り込んで、その上でみな生演奏をしていた。
両側6車線+両側に並木+かなり広い歩道、その広い道2、5キロ余を埋め尽くす人の数にただただ驚嘆した。

そして今年、私の危惧は、もうラテンブームじゃないし、、、というものだったけど、行ってびっくり、さらに凄まじい人の数。
30年前にもその数を把握しようといろいろ新聞をかき集めて調べたが、ほとんど記述がなかった。
その年は発砲騒ぎで一人死んだので、そのことが小さなニュースとして出ていた。その新聞が、推定50万人と書いていた。

11時に開始されたパレードだけど、わたしは2時過ぎに行った。パレードはエンドレスにつづいていた。
決定的に違ったのは、音楽がヒップホップ1色になっていたこと。生演奏はなく、その音響は心臓が叩かれているような凄まじいボリュームだ。
それから国別の意識がかなり強くなっていること。いたるところで国旗と国旗をデザインしたスカーフやTシャツ、小物類が売られていた。Antigua&Barbuda(何と美しいデザイン!) とかBarbados とか、どこにあるんだという島々から、PanamaだのVenezuelaだのの中 南米の国まで、とにかくカリブ海とラテン系の国からきた黒人たちとその子孫が集まっているのだ。

今回パレードの道を端から端まで歩いてみて、とにかく加者数を数えることは不可能なのだということがわかる。
私の印象は、50万人どころではない、というもの。ニューヨークには200万人の黒人が住んでいる。
今年のあるネットのニュースでは、パレードにて47人負傷、(どうやらだれも死者は出なかったらしい。)参加者数15万人。
とんでもないと思う。

人種差別とはこういうことだ。どう考えてもニューヨークで最大のお祭りなのに、ニュースにもトピックにもならない。ほとんどの人はその存在さえ知らない。ゲイパレードなんて、何百人でもニュースになるのに、50万人でも、百万人でも黒人は無視なのだ。
だとしても、当事者たちにとって、白人やら他の人種が来てくれても別に嬉しくもないのかもしれない。
口コミで50万人やらの人が集まり、ものすごい数の土産物屋やカリブ料理のテントはみな個人営業の手作りで、まったくみごとに商業化していないお祭りなのだから。
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by keiorihara | 2011-09-07 16:28 | New York | Comments(0)