折原恵のニューヨーク写真日記 - New York Photo Diary by Kei Orihara

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カテゴリ:USA( 18 )


2015年 12月 07日

テロとの戦い? サンバーナディーノ事件 San Bernardino incident

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Sunnyside,Queens


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Sunnyside, Queens


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Brooklyn


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Sunnyside, Queens


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Sunnyside, Queens


今度はカリフォルニアでテロ事件が起こされるだろうと巷間いわれていましたが、うわさのシナリオどおりに事件が起きました。
南カリフォルニアの東に位置するサンバーナディノ郡で、市の障害者施設での集まりに二人だか三人の武装してマスクをした”テロリスト”が現れ、無差別乱射して14人を殺害したということです。
しかし、ネットでCNNやBBCのニュースを見て、これもFalse Flag( 政府や軍が作った虚偽の旗、イカサマ。戦争のきっかけをつくるために、相手側がやったと主張する自らがつくった事件)であることを、すぐに感じました。

ニュースでは、警察と犯人の銃撃戦をへて犯人を射殺というのに、銃撃戦の片鱗の映像もなく、だいぶ離れたところに捨てられた犯人の車が写されただけ。第一、逮捕する努力は何もせずにその場で犯人を射殺(といっても、犯人は車で逃走したあとに射殺されたそうで、現場を見ている人はいない)というのは、死人に口無し。テロリストと結びつけて、一件落着してしまうのは、ボストンマラソン爆破の時と同じです。
ふつうのまじめに働いている人たちが、イスラム教徒というだけの理由で、犯人に仕立て上げられ、罠にかかって、殺されたのです。

ものすごい数の警察や軍関係、それに報道関係の車がいて、21人負傷にしては、負傷者、救出者の映像がわずか2、3人。(まあこれは、事件初期に映像を見たわけではないので)
射殺してさほどの時間もたってないのに、イスラム教徒であるパキスタン人の夫婦という犯人像が発表されました。ちゃんと筋書きが用意されていたのです。
犯人の家というのが報道陣に公開され、TVキャスターが興奮気味に「パスポート、ソーシャルセキュリティーカード、すべて残されています」と、ベッドシーツが花柄なので何が置いてあるのかわからないベッドの上をカメラはさっとなめて、「クローゼットの中に穴があけられています」と、どう見てもわが家と同じアティックとしか思えない天井の蓋を指し示して嬉々としています。(もうほんとに嘘くさい)
また、「妻のマリックは、今は消されているがFacebookでアイシスISISへの忠誠を誓っていた」ということが大きく報じられ、どちらが先きだかわからないけれど、ISISからも、彼らは支持者であるという声明があったそうで。。。
ネットからの情報では、この町は、Active Shooter Drillという、警察や軍がテロや乱射などに備えてする訓練を毎月という頻度でやっていて、2日前にもこれと同じくらいの数の警察、軍が予行演習をしていたそうで、市や郡はかなり警察、軍に癒着しているところだそうで。。

ただ、きのうのニュースだかで夫婦の双方の家族の弁護士がそれぞれ話しているのをユーチュウブで見たのですが、二人とも、「かれら夫婦はテロリストになるなどとても考えられないふつうの人たち(夫はその施設の職員)。ふたりは6ヶ月の娘をとてもだいじにして毎日を送っていた」
とくに夫のサイードの弁護士David Chesleyの、
「バカバカしい。つじつまの合わないことばかり。武器が発見された、なんて、仕組まれたとしか言いようがない」
「妻のマリックは体重が40キロくらいで、あんな重量のある大型銃を持つことさえも不可能です」という発言は真実味がある。彼の表情が、かなりの真剣さと緊張をともなっているのも、伝わってきます。
また、「Sandy Hookの件もあるように」と、彼は2012年のコネチカットの事件がでっち上げの事件であることに言及しました。

この事件は、子供が犠牲者になっただけに日本でも多いに報道されたと思いますが、コネチカット州Sandy Hookの小学校で、発達障害の青年が母親を殺したあと小学校に入り、銃乱射して20人の児童と6人の教師を射殺した(なぜか負傷者がゼロ)事件で、全米中を震え上がらせました。しかしこれは学校ぐるみ、生存家族ぐるみの演出されたお芝居、誰も死んでいない、学校はものすごい金額の慰謝金(協力金)を受け取った、という説が、ネット上で物議をかもしています。
ワシントンポストがこの弁護士の発言を取り上げて、「(このような馬鹿げた発言をする)このロサンゼルスの辣腕犯罪弁護士に、もう未来はないだろう」と、本音を書いています。
この人は消されるかもしれない。(かなりの緊張でものを言っている顔、というのを、どうぞネットで見て下さい)

例によって、オバマ大統領が「いよいよ真剣に銃規制に取り組まなければならない」と演説しましたが、いつものように口だけです。かれは民主党なので、”リベラルのスタイル”をしているだけです。本気なことなんて何もない。むしろ、彼の発言に人びとの注意をそらし、テロは怖い、イスラム教は怖い、という恐怖感だけを人びとに与えて、事件をうやむやに終わらせようとしている。
アメリカが、アフガニスタン、イラクはもとより、シリアに介入しはじめてから、つまりアサド政権を倒すために(何のために?)反体制のテロリストグループに武器を売ってISISを拡大させ、また、空爆などによって難民や貧困や反感をふくらませてテロリストを拡大生産して来たのはアメリカなのです。(アメリカと協力するイギリス、フランスをはじめとするNATO諸国もしかり)
軍事はアメリカの最大の産業で、国民の税金の20%が軍事費に使われている。国民の税金は、軍事産業やその投資家たちのフトコロに転がり込んでいっているのです。こんないい商売はありません。この産業を永続発展させるためには敵を作り続けなければなりません。
冷戦のあとに思いついたテロとの戦い、これは未来永劫つづくアメリカのターゲット。
人びとを無闇に恐怖に陥れ、テロとの戦いの正当性を印象づける、時々、このような事件が作られる必要があるのでしょう。
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by keiorihara | 2015-12-07 06:40 | USA | Trackback | Comments(0)
2015年 03月 28日

春まだし ウクライナ

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Ridgewood, Queens


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Astoria, Queens


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Queensboro Plaza


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from 7 train around Queensboro Plaza


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Astoria,Queens


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Calvary Cemetery, Queens


サニーサイドの地下鉄を降りて家に帰る道のりの信号柱にポスターが貼られていました。
「アメリカに後押しされたNATO軍がウクライナ国境西側周辺に集結している。ロシアを刺激したいアメリカは自滅の道を歩んでいる。第三次世界大戦が始まろうとしている。わたしたちは今、世界で何が起ころうとしているか知らなければならない」
と、集会を呼びかけていました。

ニュースによると、ロシアはクリミアに核を配備したようです。
ここからは推測ですが、ロシアは中国を味方につけます。ドイツがロシアに味方する可能性は大きいそうです。
アメリカとNATO軍に日本は加わりたいのでしょうか? 世界は危機にせまっています。
いったい、人間って何なのでしょう?
私たちはどういう世界に生きているのでしょうか?

映画やパフォーマンスを見に行ったり、ギャラリーやコンサートに行ったり、アイリッシュバーでギネスを飲んだり、オイスターバーで生ガキを食べたり、時々ちょっと働き、ひとのヘルプもしますが、ニューヨークはこんなふうに過ごしながら、しかし、いろんなことが見えやすい街です。
時代は確実に不穏になっていると感じます。
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by keiorihara | 2015-03-28 17:17 | USA | Trackback | Comments(2)
2015年 03月 18日

マスメディアと独立メディア

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Sunnyside


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Astoria


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Astoria



前に、日米ともにマスメディアがたいへんなこと(体制化)になっていると書きましたが、アメリカが救われていることは、こちらはローカルメディア、自主独立メディアがとても活発だという点です。

わかりやすいので、南部ジョージア州のことで話しますと、ジョージア州内に本拠地(許可取得地)をおくテレビ局が49局、それに低出力のTV局が58局あります。そのうち、私が以前住んでいた人口10万人のアセンズ市にあるTVは5局。ラジオ局にいたっては、多くはFMで数えるのがたいへんでしたが、おおよそ800局。

アメリカの地方は、まずはすべてが車の移動ですから、私もよくラジオを聞いていました。
もっぱら聞くのはWUGAというクラシック(それにコンテンポラリー音楽、ときにジャズや民族音楽も)のFM局で、アセンズ市を代表する公共放送です。
私はよくインタビューを聞いていました。音楽家をはじめ作家やアーティストの登場が多いので、なかなかおもしろく英語の訓練にとても良かったのです。ショッピングセンターにはすぐ着いてしまいますから、駐車場に止めてからも、しばらく聞いていたこともしばしば。
州立ジョージア大学が経営しているNPOのラジオ局ですが、放送の内容は大学とはなんの関係もありません。
NPO といえば、この町にはAthens Banner-Heraldという大きな新聞社もありました。日刊で、この町で新聞を配達するのはこの新聞だけなので、購読者はみなこれを読んでいました。町の高校や中学の先生の、生徒の問題の話なんかも読めます。とても風通しが良いのです。これがなんと新聞社もNPOなのでした。

WUGAは公共放送なので商業的なCMはありませんが、町の社会サービスに関する情報、宣伝が、CMのように流れます。
たとえば、DV被害女性を支援するNPO組織が、被害者にたいしてSOS電話番号を呼びかけ、どのようなサービスを提供しているかを告げる。無料のがん検診の情報、ホームレスシェルターの場所、thrift store (NPO経営の慈善品販売店)の宣伝、etcと、これを聞いていると、最初は何がなんだかわからなかった固有名詞や町のようすが、細部から少しずつわかりはじめるのです。
国際、国内ニュースはNPR(National Public Radio) という中道(?)の全国ネットの公共ニュース局からの配信だけれど、地域のニュースは独自に取材をしています。
すばらしいのは、この局では、ニューヨークタイムスにも締め出されている、アメリカの軍事帝国主義をこの20年余、痛烈に批判して来た言語学者のノーム・チョムスキーなどの講演やロングインタビューなども聞けるのです。

ニューヨーク州にあるラジオ局は541局。TV局は低出力を入れて150局あまり。
やはりここでも私は、WNYCというニューヨーク市の公共FMラジオ放送を聞いています。これもニュースはNPR なのですが、いろんな批評家の話がおもしろい。国際関係、政治問題、あるいは子どもの教育のこと、ニューヨーク市の学校問題、子どもの躾のこと、昔、日本でも、羽仁説子さんや秋山さと子さんなんかが教育のことなどラジオで話していましたね、あんな感じです。(いささか古くて誰もわからないかもしれませんが、今ではそのような評論家がラジオで話しているのをあまり聞かないので)

全体にアメリカの若い人たちはほとんどテレビを見ていないように思います。すべてネットです。
ネットでニュースを聞いたり見たりしているわけですから、じつは上記のTV局は大手のネットワークの傘下にあるものも多く、その数なんて意味がない話だったかもしれません。わが家にもテレビはなく、ニュースはネットで Democracy Now! を見ています。(いまいち早口すぎて、英語がついていけてませんが。)また、このような世界中に視聴者をもっているメディアでも、ラジオで聞こうとすると、上記のリストの短波ラジオ局の決まった時間だけに配信されているだけですから。
ともあれ、これもNPOで、どこの企業からも資金をもらわず、視聴者の寄付だけで多くのスタッフの給料、世界中に飛ぶ記者の経費などを払い経営しているわけですから素晴らしいの一言。
マスメディアでニュースとして取り扱わない重要なことがら、事件をとりあげ、戦争や国際関係の裏側の真実にせまって報道をする。またスタジオでは、新刊ノンフィクションの著者や思想家たちにロングインタビューをします。

たくさんの人たちが働いているアメリカのNPOについては別の機会に書きたいと思いますが、ジャーナリストがマスメディアのために働くのではなく、自分たちのメディアをもって働いている、素晴らしいと思うとどうじに、もう、マスメディアを変えることはできないのだ、という絶望と覚悟がここにはあるように思います。
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by keiorihara | 2015-03-18 13:56 | USA | Trackback | Comments(0)
2015年 02月 22日

ジャーナリズムって?

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ジョージア州にいたころ、わたしが住んでいた町の州立ジョージア大学に、首都圏の某国立大学から交換留学生としてきていたジャーナリズム専攻の女子学生と、あるパーティで知り合った。
将来のことを聞くと、ジャーナリストになりたい、新聞社に就職したいと堂々と答えた。
背が高くスリムで知的な顔立ちをした、日本のメジャーの新聞社やテレビ局に確かにいる毅然としたタイプの女性である。

それで、こういう人は、アフガン戦争とイラク戦争について、どんなふうに思っているだろうかと興味が湧いて、どう思う? と聞いてみた。
「それについては2つの説がありまして、、、ひとつは、、、」
と教科書みたいな口調で話し始めて、しかもそれが”説”でもなんでもないお粗末な話だったので、
「あなたはどう思う? って聞いたんだけど」
と、そもそものその戦争の起こりの間違いを話しはじめたら、彼女は即、こう言った。
「あそこでアフガニスタンに報復しなかったら、世界はどうなっていたと思います?  それに、それって政府を批判することになるんじゃないですか? 」
「えッ? 」
わたしは絶句してしまった。

「そうよ、批判しているのよ。ジャーナリズムっていうのは、政府がやっていること、やろうとしていることを見張って、間違っているときは批判するのが役目でしょう?」というと、
「いえ、 ジャーナリズムは政府が決めたこと、やっていることを正しく伝えるのがジャーナリズムじゃないですか。あまりに正しく伝わってないことが多いんです。少なくともわたしはそう教わりました」
と。
ふたたび絶句。こんな考えの持ち主が、ジャーナリスト志望? アメリカの共和党の人が言ってることそっくりそのままなのだ。
そこで、なんとかもう少し勉強してほしいと思い、本は読んでる? どういう本を読んでるの?  と聞いたら、
「本はあまり読むのはすきじゃないので、ほとんど読んでないです」という。
アメリカの大学生は、毎週毎週、課題のために本を読まされてレポートを書くのに忙しく、好きな本を読むヒマもない、という話はよく聞いていたから、いまは論文のための英語の本は読んでいるにちがいない、とは思った。
この人は、学力があって、英語ができて、国際情勢や社会情勢についてニュース用語辞典に書いてあるとおりのような答案が書けて、就職試験をパスして大手の新聞社なんかに就職してしまうのかもしれない。きっと、そうだ。
しかし、ジャーナリストになりたい人が、「本をほとんど読まない」というのは、あり得ない話というか、発想というか。

家に帰って、夫にそのあきれた話をしたらぜんぜん驚かず、「アメリカのジャーナリズム科は、そういう風に教えてると思うよ」という。
9.11以来、CNNなどのニュースが、映像と裏腹のことを平気でいうのを聞いてから、アメリカのジャーナリズムって変、と思って、わたしはまだ東京に住んでいたけれど、彼にそんなふうに話したことがある。すると、
「そもそもアメリカでは、テレビのニュースキャスターになりたいという人は、お金にしか興味のない人だといえる。給料がすごくいいから、すぐにアッパーミドルの暮らしができるし、有名になれる。でも、平気で嘘がつけるひと、というのが条件だよ。メジャーのテレビ局や新聞社の報道局というのは、真実を追求していたら勤められない所だよ」と。

その時、日本はそこまでは、、、と思っていたけれど、しかし、このような人たちがいまは日本のマスメディアで活躍しているのかもしれない。
私たち、ひとりひとりが政府だけではなく、マスメディアさえも見張っていなければならない時代になってきたように思う。
そうなると、ひとりひとりがモノ申すよい方法が作り出せないかと思ったりするが、、、毎日ツイッターとにらめっこしている若者たちこそ、ある日、 なにかとんでもないアイデアを創造して、馬鹿げたイジメ戦争の仲間入りをしようとする体制の動きを食い止める力となってくれないかと夢見たりするのだけれど。
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by keiorihara | 2015-02-22 14:39 | USA | Trackback | Comments(3)
2014年 09月 12日

ナイン・イレヴン  9/11

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13年目のナイン・イレヴン。灯りがともる新ワールドトレードセンター。

たくさんの陰謀論の本が出版され、はっきりと同時多発テロの多くの矛盾点が証明されていても、9/11はアルカイダが起こしたテロであり、イスラム教は敵であり、すべてのアラブ人は疑われても仕方がない存在として、脚本通りにメインストリームのマスメディアでは語られている。
まるで、日清日露の戦争も、日中戦争も、太平洋戦争も、アジアの国々を助けるために起こした戦争だと、少し前は偏った右翼しか言わなかったことが、今日メインストリームになりつつある日本のように、どう考えてもそんなことがまかり通るはずのないことがまかり通っている。
パワーというものに魅せられた少数の権力者によって、国が崩壊されつつある。
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by keiorihara | 2014-09-12 03:08 | USA | Trackback | Comments(0)
2014年 02月 16日

アメリカの格差と貧困

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いつ見てもホレボレするガントリー


日本では、格差と貧困ということがずいぶんふつうに語られるようになりましたが、そこでわたしは、アメリカの格差は日本とくらべて比較にならないほど大きいというようなことを言いました。
しかし、比較にならないほど、というより、そもそも日本とアメリカの格差は、比較してはいけないと思うのです。というのは、格差の質がぜんぜんちがうし、異なった構造の格差だと言ったほうがよいからです。

まずはこの国は、移民でなりたっている国であること。(もうこれだけで、日本と180度ちがいます)
ヨーロッパの植民地から独立して始まったこの国の歴史を語らなければいけないのですが、そんなこと(インディアンのこととか憲法のこととか)をはじめたら人生の時間が足りませんので、現時点のことだけを書くことにします。

この国は、黒人奴隷という大きな労働力によって農業の基礎を作り、工業を発展させてきました。
またいつの時代も”新移民”が、最低賃金の労働力として、全産業をその底力となって支えてきました。
アメリカのことを書くとき、大ざっぱですがこの前提は重要だと思います。そのうえで、自分の見たこの国の格差の印象を書いてみます。

私は、ニューヨークに来る前に、ジョージア州アセンズという州立総合大学のある人口10万人の大学町に住んでいました。
そのうち5万人強が学生および大学関係者ですから、比較的民度の高い町といえると思います。
しかし貧困線以下の暮らしをしている人が24%(学生を除いても21%)と、全米でもかなりの貧困率の高い町でもあります。
そのアセンズの、平均的ミドルクラスの家族持ちはたとえばこんな感じです。
どんなふうに豊かな暮らしが保たれているか、ここで描く風景の一こまですが、ミドルクラスの家庭のクライアントはほとんどが白人で、労働する人はほとんどが有色人種といわれる人たち、と思って読んで下さい。

たいていの夫婦はどんなに子供が小さかろうと、子供が2人いようが3人いようが、夫婦は両方ともフルタイム、そうでなければ4〜5時間、弁護士の仕事をするとか、そういう仕事を持っています。(多くは夫婦共稼ぎのうえでの豊かさです)
乳児からのデイケアがたくさんあって、良いところを捜して入所の手続きするには苦労があるにしても、かなりフレキシブルな時間対応をしてくれます。
それから、専門の乳母、というかベビーシッター派遣の会社やオーガニゼーション(ノンプロフィット)もあり、また、パートタイムのシッターの個人契約をしているひともいます。
給料のかなりを子供のケアに使ってでも、夫婦の両方が働きつづけるのが一般的です。自分がどうというより、子供はほかの子供や大人と交わって育つのが良い、というかそうすべき、と多くの人がそう思っているので、迷いはないようです。
そういう感じなので、金曜の夜などにバーに行くと乳飲み子や小学生の子供を持っているはずの女性が、のんびりと夫や友達とお酒を飲んで楽しんでいます。
デイケアやベビーシッターの多くが、黒人女性です。

1週間に一度、お掃除のひとが来て、家中に掃除機をかけ、ホコリをすっかり拭き取ってくれる。お風呂もトイレもピカピカです。
日本人女性でジョージア大学で大学教授になった友人の話では、大学院修士の学生でさえ、アパートメントのクリーニングを週1で雇っている人がけっこういるそうです。彼女や彼たちはどこであろうと、掃除というものは自分がやるものではない、と思っている。そういう家庭に育っているし、アメリカでは公立小学校でも掃除をするのは用務員とか掃除人ですから(夜を徹してやっています)、掃除などしたことがないかもしれません。(と、その日本人はあきれているのですが)
そういうわけで掃除会社は、すでに巨大チェーンの会社がいろいろあるようです。ジョージアでは黒人以外にフィリピン人のハウスクリーニングの人に会いました。黒人女性の仕事といえばメイドでしたが、今はフルタイムのメイドというのはアッパーミドルじゃないといないのではないかと思われます。

それから、庭の枯れ葉の掃除、芝刈り、植木の手入れなどのガーディナーですが、やはり専門の会社から派遣された人たちが働いているようすはいたるところで目にしました。多くはネイティヴ系(インディオ系)の小柄なメキシコ人の男性です。何十年も同じ家に通っている個人契約の黒人のおじいさんもいます。そういえば、賃貸のわたしたちの家にも、オーナーに雇われている黒人男性が来ていました。月に一回くらい(夏はもっと)だったと思います。芝生というのはすぐにのびるのです。

それから、これはその町の一般的な場面での大ざっぱなイメージです。
シェフのいるちゃんとしたレストランに行くと白人の(あるいは白人系の)若い女性または男性がウェイトレス、ウェイターをやっていますが、ハンバーガー、フライドチキン、ドーナッツなどのファーストフードチェーンのキャッシャーといった、賃金が安いうえにチップをもらえない店は、若いけれども多くが黒人かヒスパニックです。
レストランのシェフは白人だけど、奥で下ごしらえで働いている人たちはメキシコ人、という具合です。


レストランなどは、肌の色の差別、という感じがしますが、全体的には格差の多くは教育、つまり学歴です。
黒人も大学院までいけば、とにかく教師や技師やの専門職、あるいは会社の管理職につけます。
ところが黒人は大学はおろか高校を中退している人も多いのです。これは余談ですが、黒人は大学に行く人の人数よりも刑務所に入る人数のほうがいまでも多いのです。
それは多くは歴史的に破壊された家庭環境のせいだと言えます。
長いあいだ奴隷としてあつかわれ、解放後は職をうばわれ、職にありついても家賃を払ったら残らないような低賃金の労働者として差別的な待遇をうけてきた黒人たちです。精神をずたずたにされたところからはじめなければならなかったわけで、傷と怨恨は深いのです。
黒人女性は好待遇を受けることもありますが、男性は差別や偏見をうけやすく、親が仕事をやめる、罪をおかす、自分が働かねばならない、どうせ努力しても何も変わらないのだと言う絶望、そんなこんなで高校を卒業するのもたいへんなことのようです。
ちなみに、女子高校生が絶望したときにやることは妊娠と出産です。動物的本能に近いものかもしれません。生きる意欲がわくのです。でも学校をやめてしまいます。

新移民が言語的なハンディをおっていて、高賃金の職を得られないのは仕方がないことです。
いつの時代も新しい移民は最低賃金から、必死で働いてきたのです。
(しかし韓国人などは、最初から店を買い、家を買い、子どもたちを大学院まで送る。最低賃金から、という苦労とはまた違ったやり方で必死で働いているように思います)
また新移民は、言葉、法律や文化のちがいから苦労が多い分、同胞コミュニティをつくって助け合う傾向があります。
しかしながら黒人は完全なアメリカ人です。差別や偏見にたいする政治的な組織はあっても、黒人経営の銀行やビジネスなどの互助組織はものすごくと言っていいくらい少ない。
彼らはどこか悪循環に陥っているところがあるように思います。
というか、アフリカンアメリカンのなかの格差も相当あるのです。
今では白人と黒人の格差より、黒人のなかのクラスの格差のほうが大きいのではないかと思われます。
かくして低所得層の黒人はつねに置いてきぼりにされているのです。

話が、横道にそれたりしましたが、ジョージアの話からアメリカの話をするとわかりやすいので、続けてみようと思います。
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by keiorihara | 2014-02-16 14:57 | USA | Trackback | Comments(4)
2014年 02月 01日

オバマケア

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Jackson Heights



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Roosevelt Avenue



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Queens Boulevard




アメリカのキャピタリズムについては、何についても究極的にすごい世界になっています。
オバマケア(Affordable Care Actの通称)のことは、日本でも報道されているようですか?
でもこれが、どんなシロモノであるかは、あまり言われてないようで。

先進国で、公的国民皆保険制度をもたない国はアメリカ以外のどこもありません。
合衆国の人口3億1700万人中、4500万人の人が医療保険を持っていないそうです。
(私はこの数字に反対に驚いています。引き算すると2億7200万人もの人が、このバカ高い民間の保険会社の保険を買っているのかと)
保険に入っている人は、すべて私企業の保険会社の保険(ほとんどが大コーポレーションの)に入っているわけです。

私は歳をくっているというのもあって、ただでさえ高い保険が一段と高くなる。
ジョージア州にいるときに調べたのですが、これが一番安いと紹介された保険は、わたし一人で月に支払い6〜7万円(1ドル100円換算)でした。年間ではありません、月です。
それも、一回の治療費が10万円以下は、一切カバーされません。
だいたい医者に行くのは、調子悪いので調べてもらう、処方箋を書いてもらう、というようなことで、それは2万円くらいのものです。そして歯医者のクリーニング、これが一切カバーされないと、何のための保険かと思います。
しかし、事故を起こしたり内臓の手術などで入院すると、請求書が1千万から数千万なんて来ることがあるわけで(盲腸で300万円)、そのために保険会社に毎月すごいお金をかけすてることになります。保険会社はぼろもうけです。

ジョージアにいるとき、若い友人が出産したのですが、なんらかのことで赤ん坊が呼吸困難をおこし急きょ帝王切開になり、当人は二日で退院しましたが、赤ん坊はさらに数日入院していたそうです。その後は母子ともまったく健康にすごしましたが、請求書は450万円だったそうで、ご主人の会社がまとめて優良な保険に入っていたので、全部カバーされたそうです。友人の話では、全額カバーされないことも多いのだと言っていました。
(マイケルムーアのドキュメンタリー映画 ”Sicko シッコ" では、保険会社がいかに極悪で、病院や医師たちをも支配する医療の敵になっていることが描かれています)
しかしやはり、子供ができたら保険なしというのはかなりリスクがともないます。
会社が保険加入を世話してくれない場合、つまり個人家業だと、家族分の医療保険が収入の3分の一だの、4分の一という人も結構いるようです。
そこで現れたのが、オバマケアです。

国民皆保険というのなら、国が税金を運用して、あるいは一律の健康保険を制度として運営してしかるべきだと思いますが、これがぜんぜんちがうのです。
オバマケアで保険を買おうとすると、”マーケットプレイス”というサイトに行くことになります。
この保険のイチバは、従来の民間の保険会社が軒を並べて、「うちがとくですよ、いろんなプランがある我が社へ」 「ニューヨーク州で、あなたの収入だとこんな会社がありますよ」と、保険会社の出店ウェブサイトみたいなもので、これのどれかに加入しないと、罰金を払うはめになりますよ、という仕組みです。

はっきり言って、保険会社にとっては何一つ変化も損もなく、不良の保険商品が整理された分と、罰金払うのはいやだという善良な貧乏人に高い保険を売りつけられる分、さらに大コーポレーションの医療保険会社を儲けさせるしくみになっているのです。
州ごとにちがうし、収入の入り方や額によってもちがうので、詳しく説明すると、それはちがう、という話になるかもしれませんので、大ざっぱに本質だけを取り出して言ってますが。
国の制度は何一つ作らず、加入を強制した、極限のキャピタリズムの医療保険システムなわけです。

オバマケアの特徴は、低所得者に控除が用意されているということ。
保険がそれほど安くなったわけではありません。
ですが、例えば「あなたの保険料は5万円です。ですが、あなたは貧民なので政府が2万円を援助します。あなたは3万円だけ銀行に振り込めばいいのです」
という具合です。
政府は援助の2万円分を税金から、保険会社の”銀行”へ振り込むわけです。
政府は銀行にお金を渡す口実ができたのと、私企業の保険会社をさらに儲けさせるのと、こんなに資本主義的に頭のいい大統領はいないでしょう。

オバマは保険会社から巨額の資金援助を受けて大統領になった人です。
そして、オバマ大統領がやったことは、保険会社をさらに儲けさせる”改革”だったのです。

さて、共和党が断固反対して、議会が時間切れになって、連邦議会が閉鎖され、国の機能が混乱するという事態が起きましたが、
これもみなお芝居、という人もいます。
共和党がオバマのことを「社会主義者」と呼び、自由社会の敵、と非難して、オバマは果敢にも、まるで”痛みをともなう改革”をやったみたいですが、これもぼけとつっこみにしかすぎません。

でも、めでたく私もオバマケアの保険を買ったのです。
ニューヨークは他州とくらべてとくべつ安いそうですが、今までよりやすく買えたことはたしかです。
でも、大資本家たちを肥やす制度に国民皆保険なんてうたって、私たちの収入や税金が極悪非道の保険会社に行くってのは、やはり納得できません。

しかし、この国に来て、日本の健康保険制度(とくに高額医療費限度額など)がどんなに素晴らしいものであるか、改めて実感しました。
安倍内閣は、健康保険の見直し、なんて危ないことも言っています。断固死守してほしいのが、日本の健康保険制度ですね。
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by keiorihara | 2014-02-01 03:00 | USA | Trackback | Comments(0)
2013年 12月 27日

雪の夜   Snow In Sunnyside

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前回、アメリカのトップ1%の金持ちが99%を云々、、、と書きましたが、現実的にはその1%の中味は、ほとんどトップ0.1%ないしは0.01%がコントロールしていると言っても良いそうです。0.01%と言っても、3万人くらいいるわけですから。
この人たちは、大企業のトップの肩書きなんかを持っている人もいるでしょうけど、実際経営などに関わっているのではなく、株の配当を受け、新たな投資や、そして社会貢献などを、政治家との関係の上でやっている。彼らの投資は絶対に儲かる仕組みになっているわけです。
もちろん、かなり頭脳明晰で冷徹で悪賢くなければ勤まらないと思いますが。

こういう人たちは自分たちが儲けるために、今度はどこの国に戦争をしかけるか、あるいはどこを引っ掻き回して戦争をさせるか、そして武器を売り、経済コントロールをするか、そういうことにも関わっているわけです。
共和党が保守で、民主党が革新というのは、表面的なスタイルだけであって、追求していることはまったく同じ。お笑いコンビのボケとツッコミみたいなものでしょうか。
自分たちの富と力、それを発揮できる最高の地位を得て、ゲームをしている人たち、それがアメリカの資本家と政治家だと思います。

アメリカの格差というのは、グローバル経済によるマルチナショナルコーポレーション(多国籍企業)が、各国の事情なんかを無視してぼろ儲けをしていることからきています。
軍需産業、石油産業、保険、医療、などは、完全に政治を動かしているし、というか、政治家自身がそれら大コーポレーションのトップ、つまり資本家である場合が多く、自分たちの階層がより豊かになるため、そして、より権力を行使できるために政治をしているわけで、失業率なんかにほとんど興味はないし、どんなに格差がついても、それはよりアメリカが自由の競争を果たせている証拠であるので、めでたいことだと本心では思っているはずです。
アメリカの議会で、ブッシュがアフガニスタンと戦争だー! と叫んだ時、それに反対した議員はたった一人だったのです。
一人ですよ!?
上院や下院の政治家になるのに、どれだけお金が必要か、どれだけ階層が限られているか、これがアメリカの民主主義と自由の結果なのです。

それより今、日本に起きていることのほうが気がかりです。
沖縄に長く関わっている友人からこんなチラシが送られてきました。
米軍の新型輸送機「オスプレイ」の強硬配備に対してたたかう高江の住民を負ったドキュメンタリー映画『標的の村』
予告編を見て、オスプレイについて調べると、どうやらオスプレイというのは、沖縄基地だけの問題ではなさそうなのですね。
そしてオスプレイについて驚くべくこんな記事を見つけました。日本のテレビニュースなどでも伝えられていることでしょうか?
1機100億! を日本中の自衛隊に配置させて、、、着々と日本の再軍備が進むのでしょうか? 
こんなことも、アメリカの軍需産業を儲けさせ、それに投機している金持ちたちが天井知らずの金持ちになって行く一部分なわけです。
(ハフィントンポストという、ハフィントンさんという女性が発行しているアメリカの新聞の日本版です。)
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by keiorihara | 2013-12-27 10:09 | USA | Trackback | Comments(1)
2013年 12月 21日

クリスマスツリーと格差社会

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今年もあっという間にクリスマスの季節がやってきました。
ちょっと前に見た、子どもたちが立ち止まって動かなくなるほどすてきなクリスマスのショーウインドウ、あれはどこだったろうと、うろうろしているうちにロックフェラーセンターの例のクリスマスツリーにぶつかり、人波をかき分け、さらにうろうろしているうちに、ブランドショップが立ち並ぶフィフスアベニューのショーウィンドウを撮ってしまうはめに。

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不気味ですね。消費社会は退廃の極み。そう言ってショーウィンドウを覗き込む庶民をあざ笑っているのです。


前回、アメリカはけっして貧しくないと書きましたが、もっと書かなくてはなりません。
アメリカはいつの時代もそうだと思いますが、金持ちは天井知らずにお金を持っていて、貧乏人は底なしに貧乏、というのが本当のところでしょうし、実感でもあります。
だから、ここから見ると、日本が格差社会なんていっても、先進国の中では日本は極めて均質化した、貧富の格差のない国に思えます。

アメリカでは2012年、トップ1%の人たちが全世帯の収入の五分の一(19.3%)を得ていて、上から10%の世帯が収入の50.4%を握っているそうです。
ここ30年来、格差は広がり続け、格差の広がりは過去最高だった1927年よりもひどく、記録史上最高となりました。
2007年~2009年のギリシャの財政危機による株価の急落によって、1%の高所得層は収入を36%落とし、99%の人たちは収入を11.6% 落としました。
しかし1%の人たちは、2009年6月に不景気が終わると、景気回復期のコーポレイト利益の拡大を楽しんで、31.4% 収入を回復し、ところが99%のひとたちは0.4%にとどまったのです。
つまり合衆国の収入増の95%がぜんぶ1%の人たちに行ったことになります。
_(Global Post および NBC news 9/10/2013 より)

たしかにフードスタンプをもらう人たちは増えているはずです。私の友人にフードスタンプをもらっている人が二人います。
ひとりはアーティストで、ひとりは市営のホームレスシェルターや病院で、息子の大学の授業料のために週七日、朝から晩まで働いています。
失業保険もたくさんの人たちがもらっていると思います。
失業率ですが、年収200万円以下の家族の失業率は21%です。これは大恐慌の時と同じだそうです。1500万円以上の世帯の失業率は3.2% で、中間層がどんどん低賃金層に移って来ているという話です。

で、どうして貧民が生きていけているか、というのがアメリカを語る上で重要なポイントです。
この国の、それこそ実感ですが、おおざっぱにいって福祉というのはどのような考えにもとづいているかといえば、”もつ者がもたざる者を助ける”という”慈善”の精神です。クォーテーションマークを付けたのは、皮肉の気持ちですが。
とにかく、金持ちがふんだんにNon Profit Organization (非営利組織。 NPOと言っても通じません)などに寄付して、福祉やアート、教育、公共施設等々を働かせてくれるからです。
寄付金が税金控除の対象になる、というのも大きな要因でしょうが、それだけではありません。
大金持ちも庶民と同じく、天国に行きたいと思うからです。

この話は長くなるので、続きは、別の機会に。
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by keiorihara | 2013-12-21 17:11 | USA | Trackback | Comments(5)
2013年 12月 12日

アメリカは崩壊するのか?  From the platform at Queensboro Plaza

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夜のクイーンズボロプラザの駅のプラットフォームから。
二つの給水塔を挟んで左がエンパイアステートビル、右の尖塔がクライスラービル。
アメリカが一番夢を持った時代の象徴です。(1931年と1930年建築)


ニューヨークは本当に信じられないくらい安全になりました。
30年前は、地下鉄の中で居眠りどころか、本を読むことすらためらわれました。夜中に酔っぱらって地下鉄に乗るなんてとんでもない。24時間走っているにも関わらず、夜12時を過ぎたころには、乗客はまばらにしかいませんでした。
今では、まるで東京みたいです。iPadやキンドルで本を読ことはおろか、スマートフォンでゲームをしていたり夫婦喧嘩をしていたり(これは東京では禁じられてますが)。真夜中でも、立っている人がいるくらい混んでいます。

で、景気はどうなの? 合衆国の衰退度はどうなの? 実感として? という質問をもらったのですが、こういうのはどう書いたら良いかわかりません。デトロイト?  ヘエーそうなの、って感じです。
数年前にロサンゼルスが破産したというニュースがありましたが、行ってみると、ダウンタウンはどこも30年前と比べると雲泥の差できれいになっていて、予想したより豊かな感じがしました。(日本の変化に比べると、たいしたことないかもしれませんが)
財政破綻でキツいのは、公務員です。学校の教師への給料の未払いが続出、閉鎖に追いやられる学校も、というニュースは覚えています。
ニューヨークも2年前には、ニューヨーク市の職員の人員カットに反対して集会をくり返しているグループがあったり、サニーサイドでは、図書館を閉鎖させるな! というビラをもらったこともあります。オキュパイウォールストリートの運動もこの頃始まったのですが。
しかし、サニーサイドの図書館はますますDVD など充実して賑わっているし、学校の閉鎖はまた別のシステムの問題があります。

学校の閉鎖といえば、ニューヨーク教育省下の公立学校1750校(含404高校。高校も義務教育)を対象に、poor performanceの学校(卒業者、出席率、学力テストの成績不良、環境不良など)下から数十校が、毎年ニューヨーク教育省から勧告を受けます。
「これから学校がものすごく努力して良い結果を出すか、さもないと閉鎖するぞ」という勧告です。

2011年でいえば、47の学校(20小中学校、21高校、6チャータースクール)が閉鎖の勧告を受け、実際に閉鎖された学校は2011年と2012年にそれぞれ19校ありました。(勧告から閉鎖までに数年あるので、勧告を受けた学校が翌年閉鎖になるわけではありません。反対にトップ55校は、報奨金1500万~3000万円を受け取りました。)

多分、閉鎖された学校の多くは貧しい地域にあると思います。それは、学校の経営費は州や市の他に、大きく格差がつく固定資産税でまかなわれているからです。高級住宅地にある学校と福祉住宅の住民が多い学校では、その運営費はすごい格差があります。先立つものがないと努力の仕様がない、先生の数も少なく、教育に手が回らない親も多いでしょう。競争をさせてレベルを保つ、という発想は決して悪くはないと思いますが、非情なやり方とも思えます。これは、政府の援助を受けて運営する福祉NPOなどと、同じ扱いなのです。成績のよくないNPO は、どんなに歴史があろうと、理念が良かろうと、閉鎖に追い込まれます。

去年のニュースですが、こんな話があります。
マンハッタンのアッパーイーストサイド(いわば高級住宅街)の学区の公立小学校に通う12歳の自閉症の女生徒の両親が、娘がクラスメートにいじめられているので私立への転校を余儀なくされている、ついては教育省に対して私立の授業料年間400万円を払えと訴えていて、どうやら訴えが通りそうだと。
これが通ると、いじめを理由にして私立に転校させたい両親が軒並み訴えて、われわれ市民の税金が私立学校に払われるということになるのではないか、というのがマスコミの論調でした。

現在、連邦法では、児童生徒がdisability(障害=身体のみならずLD(Learning Disability=学習障害)やアスペルガーなどの発達障害、自閉症症候群などを含めて)をもっている場合で、その学区の公立学校がその受け入れに準じていない場合、その条件を備えた私立学校の授業料を、教育省がかわって支払うことになっています。 
実際、全国110万人の児童生徒がそれらの特殊教育を受けていて、年間235億円を、教育省はdisabilityの子の授業料として私立学校に払っているそうです。

ですがこの少女の場合、LDの子とふつうの子が同じクラスですが、障害の子に複数の補助教師がついているというやり方だった。つまり、障害者に対する相応の待遇は受けていたわけです。ですからあくまで転校の理由は、いじめ、ということ。
ですが、公立学校側が親からのいじめの訴えを否定した、ということで、いじめの調査とともに学校側の障害者への指導や対応の調査がおこなわれ、、、
数日後のニュースでは、私立の授業料400万円を支払うようにという裁定が下ったそうです。
そこでマスコミは、識者に語らせています。「この例をとって、自分の子を私立の学校にやらせたくて、いじめられたと訴えても話が違います。これはあくまで、障害者の待遇にたいする問題ですから」と。

これらの話から、なにを読み取るでしょうか。私は、アメリカはけっして貧しくはない、と思います。
もちろん、私のまわりに景気のいい話はありません。フリーランスや若者が仕事を得るのがたいへんなのは日本と同じ。
アメリカの就職は、意外とコネクションの世界なので、潜在的コネ(血縁地縁や学校関係など)がない人は、自分でコネクションを作らなければなりません。
学校を出て就職したい人は、自分で働きたいと思う職場に行ってインターンを申し込むのです。そこでタダ働きを(Non Profit の場合はボランティアという)半年とか1年やって(バイトをしながら)、そこで能力ややる気を認められて正式に契約するという厳しい世界です。
しかしこれは、皆が皆同じ黒いリクルートスーツを着て、下手な鉄砲数打ちゃあたる式に就職試験を次から次に受けてへとへとになるどこかの国の若者より、実質的で、人間関係的なことかもしれません。
私は、求職案内を見るのが趣味なところがあるのですが、ニューヨークの数ある日本語新聞サイトに限っても、IT関連、デザイン、経理、マネジメント、セールス、店員、日本レストラン、毎週毎週すごい数の求人がある。仕事はあるのです。
しかし、マンハッタンのイーストビレッジで33年前、週3日ウェイトレスをしながら写真を撮って、三部屋もあるアパートメントの一部屋を暗室にして、お気楽に暮らしていた、今ではそんな生活は夢のまた夢です。

というのはここ10年くらい、天井知らずの不動産価格の上昇で、信じられない高家賃ですから。今年は、全国的にもここ30年間で最高の上昇率らしい。
マンハッタンで売り出されているアパートメントの部屋が、10億、20億円 (1ドル100円換算)なんていうのはざら。セントラルパークウェストで去年売りに出されたもので50億円なんてのもあります。
ちなみに2012年のマンハッタンのアパートの平均販売価格は1億4800万円で、2011年より9%も上昇しているそうです。
ダウンタウンに天井の高い大きなロフトを買って住んでいる友人がいますが、メインテナンスで毎月22万円も払っているそうです。
家を所有しても、ビルの所有者はさらに搾り取ろうとするわけです。

そんなわけで、1ベッドルーム、あるいは2ベッドルームで、マンハッタンやブルックリンの近いところは家賃30万円以下ではありません。
ちょっと洒落た作りだと、Studio(ワンルーム)でそれくらいします。
だから学生や若者はたいていルームシェアということになります。
独身の街ニューヨークで、30を過ぎた会社員がルームメートと暮らしている、異常なアメリカ人の生態です。
そして、約30%の人たちが給料の半分以上を家賃に費やしているそうです。

かたや、高層ビルの億ションが次から次に建築されています。
クイーンズのロングアイランドシティではいつでも、建築中の40階、50階の高層マンションの槌音が響いています。
半分くらいは空き室だと聞きました。それでも数字を動かしているだけの人たちは儲かるわけです。

それで、実感はどうなのって?
服やレストランは8%の消費税ですが、野菜や食料品すべて、口にするものは税金ゼロです。
これはかなり気持ちのいいことです。
もちろん、貧乏をひしひしと感じる毎日ですが、
この国で病気になったらヤバい、と
肉は最小限に、買うときは全部オーガニック。(倍近い値段ですが)
魚も養殖は避けて、海で泳いでいる魚、川魚の捕獲したもの。
穀類も、 愛用の9割玄米がオーガニックじゃないのですが、でも他は全部オーガニック、パンはみな家で焼きます。
乳製品もほとんど取りません。(ホルモンなどがヤバい)
プロセス加工食品もなるべく食べない。(といっても無理ですが)
近郊農家が近所にもってくる新鮮なオーガニックのリンゴを皮ごと食べると、ああこれぞリンゴ、という味がしておいしい。

で、どうなのって?
夫は、この国は早く崩壊してほしい、と言っていますが、まだしばらくそうはならないでしょう。
アメリカは恐ろしい国ですが、日本は、相当イカレて見えます。
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by keiorihara | 2013-12-12 15:51 | USA | Trackback | Comments(3)