折原恵のニューヨーク写真日記 - New York Photo Diary by Kei Orihara

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2011年 10月 25日

番外篇  グランドキャニオン Travel to the Southwest, Grand Canyon

更新が遅れてしまいました。
私事を書いてしまいますが、今回は番外篇ということで。

事の発端は、航空会社のマイレージの期限が10月末に切れてしまう、ということでした。
国内だったら二人分どこへでも行けるマイルです。じゃあ、どこかに行こうということになりました。
10月は私の誕生日があるので、誕生日祝いに私の行きたいところに行こうと夫が言ったのです。
私はすぐに答えました。
「グランドキャニオン!」
30年以上前にグレイハウンドバスの一人旅でアメリカ中を2ヶ月かけて一巡りしたときに、早朝の車窓から見たグランドキャニオンの真っ赤な壁面(バスの運転手はこの壁の向こうがグランドキャニオンだと言ったのだと思いますが)のあまりの美しさが忘れられず、長い間ずっと行ってみたいと思っていた場所なのです。

けっきょくそのときにマイルで買える便は、腹立たしいことには、空港に夜中に着くとか帰りの便の出発時間が早朝とか、とても利用したくない便なのです。
「マイレージなんかに束縛されるなんて馬鹿げている」と、夫は特典旅行を捨てて、自分で航空券を買ってしまいました。
(で、あとでわかったのですが、そのマイレージは最近、無期限に変更されていたのです。めでたし)

ラスベガスの空港からレンタカーして、大型ディズニーランドのようなラスベガスのケバケバしい街を車窓から眺め、南ユタをめざし出発。
それから8日間、グランドキャニオン、ブライスキャニオン、いくつかのキャニオンランドを通って、モニュメントバレー、ナヴァホインディアンの居留地、メサベルディ とチャコキャニオンのプエブロ(約1000年前のネイティヴアメリカンの住居跡)を見て、サンタフェ、アルバカーキーまで1500マイル(約2400キロ)を旅したのでした。

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Grand Canyon from the North Rim 向こうに見える南壁(ほとんどの人はこちらを訪れる)まで約30キロの距離があります。私たちが行った北壁(標高2700メートル)は積雪のために閉鎖される一日前でした。

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Bryce Canyon National park (Photo by T.Lacy)
アメリカの国立公園の素晴らしさに感服しました。道路標識どころかガードレールもフェンスもほとんどありません。
舗装道路につけられた見晴らしのいい展望台には、それなりの囲いや地図と名前がついていますが、それも、自然の中にある素材や色を利用して、自然の中にとけ込ませている。
安全というのは自分が責任をもつもの、というのが国立公園の常識なのだと思います。


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Bryce Canyon National Park

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Bryce Canyon National Park

想像を絶する風景。その風景の巨大さ、異様さに言葉を失ってしまいます。
写真ではそのスケール、その距離感、その美しさ、質感、ボリューム、どのひとつも表現することができません。
地平線も空の大きさも深さも巨大すぎて、距離感がわからない。
その姿の異様さに、まるで海の底を見ているようだ、と言ったら実際、5億年前まで湖の底だったそうです。

これらの風景から彷彿とさせるもの(あるいは旅の中から思い出したもの)は、ギリシャ神殿、ビシュヌ寺院、ボロヴドウール寺院、アンコールワット、ローマのコロシウム、西洋のお城 、ローマ時代の城塞、砦、イスラエルのネゲブ砂漠、シリアの荒野、インドの寺院を支える象、そして様々な人間の群像。
偉大な自然が作ったものと、人間が作った神々(あるいは霊)の住処、というのは関係があるのでしょう。
そしてここが聖地であることを確信したのでした。

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グランドキャニオンに関して言えば、コロラド川峡谷を囲むグランドキャニオン国立公園の広さは4930平方キロメートル、長さは446キロ、見下ろす絶壁は1500メートルの深さ。

そして、毎日走りつづけても、つぎからつぎに違った顔を見せるキャニオンや巨大奇岩を見渡す広大で異様な風景は途切れることはないのです。
これが、ユタ、アリゾナ、コロラド、ニューメキシコのほんの一部なのですから、アメリカの大きさをこれほど実感できるところもないかもしれません。

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Bryce Canyon National Park



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toward Monument Valley

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Goose Neck Canyon

こんな風景を15000年前から見てきたアメリカ先住民。
巨大な自然の力を知り、自然の前にひれ伏し、自己を自然の一部とみなして暮らしてきた彼らアメリカインディアンと、自然をつねに征服し、ヨーロッパから”新大陸”にやってきてもなおも自然を我がものにしようとした白人(西洋人)とは、どんなにちがった精神性を持っていただろうと、ここに立ってつくづく感じました。

アメリカ政府がおこなった悲惨なインディアンの歴史は、日本が中国や朝鮮やその他アジアの国々にたいしてやったこととかなり似ています。つまり、人間とみなしていなかったのです。根絶やしにせんばかりの命の奪い方、生き残った者にたいしても同化教育と称して、言葉を奪い、名前を奪い、人間としての権利、尊厳を奪っていたのです。

リザベーションの荒れ野の中にぽつぽつと立つプレハブの家に住み、私たち観光客のモーテルの世話をしたり、レストランで働いたりしている現在のインディアンの生活を見ると複雑な思いです。
今、ナヴァホネーションと呼ばれるアメリカ最大の居留地は自治国に近く、上記4つの州にまたがった広大な地域です。議会を持ち、大学を持ち、観光資源を握っています。
交通標識も全く違った独自のデザインと色で作られています。
そしてインディアンはとても寡黙です。


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Monument Valley in Navajo Nation

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Glen Canyon and Lake Powel

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Bryce Canyon 太陽が沈むと間もなく台地の向こうにひょっこり月が現れました。
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by keiorihara | 2011-10-25 07:29 | USA | Comments(0)