折原恵のニューヨーク写真日記 - New York Photo Diary by Kei Orihara

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2014年 02月 01日

オバマケア

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Jackson Heights



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Roosevelt Avenue



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Queens Boulevard




アメリカのキャピタリズムについては、何についても究極的にすごい世界になっています。
オバマケア(Affordable Care Actの通称)のことは、日本でも報道されているようですか?
でもこれが、どんなシロモノであるかは、あまり言われてないようで。

先進国で、公的国民皆保険制度をもたない国はアメリカ以外のどこもありません。
合衆国の人口3億1700万人中、4500万人の人が医療保険を持っていないそうです。
(私はこの数字に反対に驚いています。引き算すると2億7200万人もの人が、このバカ高い民間の保険会社の保険を買っているのかと)
保険に入っている人は、すべて私企業の保険会社の保険(ほとんどが大コーポレーションの)に入っているわけです。

私は歳をくっているというのもあって、ただでさえ高い保険が一段と高くなる。
ジョージア州にいるときに調べたのですが、これが一番安いと紹介された保険は、わたし一人で月に支払い6〜7万円(1ドル100円換算)でした。年間ではありません、月です。
それも、一回の治療費が10万円以下は、一切カバーされません。
だいたい医者に行くのは、調子悪いので調べてもらう、処方箋を書いてもらう、というようなことで、それは2万円くらいのものです。そして歯医者のクリーニング、これが一切カバーされないと、何のための保険かと思います。
しかし、事故を起こしたり内臓の手術などで入院すると、請求書が1千万から数千万なんて来ることがあるわけで(盲腸で300万円)、そのために保険会社に毎月すごいお金をかけすてることになります。保険会社はぼろもうけです。

ジョージアにいるとき、若い友人が出産したのですが、なんらかのことで赤ん坊が呼吸困難をおこし急きょ帝王切開になり、当人は二日で退院しましたが、赤ん坊はさらに数日入院していたそうです。その後は母子ともまったく健康にすごしましたが、請求書は450万円だったそうで、ご主人の会社がまとめて優良な保険に入っていたので、全部カバーされたそうです。友人の話では、全額カバーされないことも多いのだと言っていました。
(マイケルムーアのドキュメンタリー映画 ”Sicko シッコ" では、保険会社がいかに極悪で、病院や医師たちをも支配する医療の敵になっていることが描かれています)
しかしやはり、子供ができたら保険なしというのはかなりリスクがともないます。
会社が保険加入を世話してくれない場合、つまり個人家業だと、家族分の医療保険が収入の3分の一だの、4分の一という人も結構いるようです。
そこで現れたのが、オバマケアです。

国民皆保険というのなら、国が税金を運用して、あるいは一律の健康保険を制度として運営してしかるべきだと思いますが、これがぜんぜんちがうのです。
オバマケアで保険を買おうとすると、”マーケットプレイス”というサイトに行くことになります。
この保険のイチバは、従来の民間の保険会社が軒を並べて、「うちがとくですよ、いろんなプランがある我が社へ」 「ニューヨーク州で、あなたの収入だとこんな会社がありますよ」と、保険会社の出店ウェブサイトみたいなもので、これのどれかに加入しないと、罰金を払うはめになりますよ、という仕組みです。

はっきり言って、保険会社にとっては何一つ変化も損もなく、不良の保険商品が整理された分と、罰金払うのはいやだという善良な貧乏人に高い保険を売りつけられる分、さらに大コーポレーションの医療保険会社を儲けさせるしくみになっているのです。
州ごとにちがうし、収入の入り方や額によってもちがうので、詳しく説明すると、それはちがう、という話になるかもしれませんので、大ざっぱに本質だけを取り出して言ってますが。
国の制度は何一つ作らず、加入を強制した、極限のキャピタリズムの医療保険システムなわけです。

オバマケアの特徴は、低所得者に控除が用意されているということ。
保険がそれほど安くなったわけではありません。
ですが、例えば「あなたの保険料は5万円です。ですが、あなたは貧民なので政府が2万円を援助します。あなたは3万円だけ銀行に振り込めばいいのです」
という具合です。
政府は援助の2万円分を税金から、保険会社の”銀行”へ振り込むわけです。
政府は銀行にお金を渡す口実ができたのと、私企業の保険会社をさらに儲けさせるのと、こんなに資本主義的に頭のいい大統領はいないでしょう。

オバマは保険会社から巨額の資金援助を受けて大統領になった人です。
そして、オバマ大統領がやったことは、保険会社をさらに儲けさせる”改革”だったのです。

さて、共和党が断固反対して、議会が時間切れになって、連邦議会が閉鎖され、国の機能が混乱するという事態が起きましたが、
これもみなお芝居、という人もいます。
共和党がオバマのことを「社会主義者」と呼び、自由社会の敵、と非難して、オバマは果敢にも、まるで”痛みをともなう改革”をやったみたいですが、これもぼけとつっこみにしかすぎません。

でも、めでたく私もオバマケアの保険を買ったのです。
ニューヨークは他州とくらべてとくべつ安いそうですが、今までよりやすく買えたことはたしかです。
でも、大資本家たちを肥やす制度に国民皆保険なんてうたって、私たちの収入や税金が極悪非道の保険会社に行くってのは、やはり納得できません。

しかし、この国に来て、日本の健康保険制度(とくに高額医療費限度額など)がどんなに素晴らしいものであるか、改めて実感しました。
安倍内閣は、健康保険の見直し、なんて危ないことも言っています。断固死守してほしいのが、日本の健康保険制度ですね。
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by keiorihara | 2014-02-01 03:00 | USA | Comments(0)