折原恵のニューヨーク写真日記 - New York Photo Diary by Kei Orihara

keiorihara.exblog.jp
ブログトップ

タグ:転勤家族 ( 1 ) タグの人気記事


2011年 09月 03日

旅の途上

a0215638_1453137.jpg
Woodside


3歳のときに、額を4針縫う大怪我をした。
生まれて最初の自意識のめざめだった。
知らない他人が私に立ちはだかっっていた。

手術後、みんなと一緒に遊ぶことを禁じられた。
広場のヘリに立った私は、それまでみんなと遊んでいた広場を、風景を、外側から広角レンズで見ていた。
私はそのとき世界に対して何も知らなかったが、知りたいという気持ちを意識した。

ある日、近所のMちゃんが、”テンキン”するのだと言った。
そしてある日、突然、その一家はいなくなった。
家のなかがもぬけの殻になったことは、わたしにとって、もの凄いミステリーだった。
Mちゃんの家族はこの世からいなくなったのではなく、知らないどこかで生きているのだと。
その知らないどこかに私がいったら、私は消えていなくなるのだろうかと。

4歳になる前に、わが家も”テンキン”となり、下関から ”支店の街” 福岡市に引っ越した。
小学3年で学校が変わり、毎学期ごとに親の転勤による転校生がぞくぞくと入ってきた。
友達はすべて転校生だった。そして私もまたどこかにいくのだと感じていた。

木造の建設省の官舎は、板塀にしっかりと囲まれて8軒あった。
12歳で私たちがまた転勤するまで、官舎のいくつかの家族が出たり入ったりした。
つぎの佐賀市は、わずか2年だった。
私の父は東京育ちで、どこにいっても標準語をくずすことはなかった。
母はすでに二代目の転勤家族育ち、出身地を聞かれてもどこと答えていいかわからないという人で、その土地その土地の方言を使いこなしていたようだ。
それはそうだ、土台がないのだから

私は今までも今も、自分の住んでいる場所にたいして、ここは仮の土地、仮の住まいという感覚をいつも持ってしまう。
私たちはいつも旅の途上。心の中では落ち着きたいと思うのに、なぜか遠ざかっていく。

a0215638_13594471.jpg
  Sunnyside
a0215638_1411392.jpg
Woodside
[PR]

by keiorihara | 2011-09-03 14:19 | Queens | Comments(0)