2011年 10月 30日
Occupy Wall Street の運動にたいして、前回、リーダーがいないし、闘争目標がバラバラ、というような心配事を書きましたが、思うに、まさにこの点において、この運動はアメリカにおいて、新しく素晴らしいのかもしれない、と思うようになりました。 つまりここには、オバマよどうしろとか、イラク戦争反対とか、医療保険のA案に反対とかというこれまでの抗議と比べると、そこには根本的に異なる大きな怒りと絶望があるからです。 「ウォール街を占拠せよ」 という、かけ声というか運動の名称も、考えたら、秀逸だと思います。 彼らはもう、議会など相手にしていない。議会制民主主義すら信じていない(プラカードに、投票するな!というのもありました)。 合衆国の連邦議会で行われていることがお芝居であることを見抜いている。(まあ、日本の国会も金屏風の前の猿芝居だと思いますが) この国のほとんどの議員が上流の出身(アメリカの階級社会についてはまたの機会に)で、ウォールストリートのために働くことが国会議員の仕事といえます。(そうではない議員も一人くらいいるようですが。アフガン攻撃、イラク攻撃に反対した議員はたった一人だったのです) こ のウォールストリートを動かしている層というのは、この国のトップ1%の資本家層(といっても人口3億人を超した合衆国では300万人にもなりますが)、 そのうちのさらにトップの国際金融資本家層、ロックフェラー、メロン、デュポン、モルガンなどの財閥と軍需産業、石油産業、製薬産業などの多国籍企業家た ちと、それへの投資家層。 彼らをもうけさせるために、この国には外交(経済コントロールあるいは戦争)というのがある。議会で話されている主なことは、この”外交”です。 まさに、” We are the 99%" というシュプレヒコールは、根本をついているラディカルな声であると思われます。 この国が曲がりなりにも機能しているのは、州や市の地方自治体の行政がしっかりしていることと、たくさんのボランティアをかかえた、ものすごい数のNPOの働きがあるからです。 しかし、この国の上層の非情な金銭欲は、アメリカの企業全般の体質になっているように思えます。 儲けるためには、どんなことをしてもヘイチャラ。訴えられても必ず勝つようになっているようです。サービスなんてことは頭にもありません。 例えば私の経験で言うと、病院•医院は、コンスタントに請求書を二重に取り立てます。または電話会社、ガス会社などはコンスタントに数字を間違えます。 請求額を銀行に自動振替をしたらおしまい。10ドルくらいの数字の違いは気がつかないことがあります。 電 話会社に、使用料金と請求額とが違うと電話したら、請求書は別会社がやっているので、我々電話会社とは関係がありません、請求会社に電話してください、と いわれる。そこに電話すると、この会社は請求書を出しているだけで、この数字は会計会社から来たものだから、会計会社に電話しろと言われる。そこに電話す ると、この数字は電話会社から来たものだ、といわれる。 それまでに、音声レコードでどこどこに用件の人は数字3を押してくださいとか、ものすごく疲れる作業を強いられる。その前に、混み合っていますのでお待ちください、という機械音に辛抱強くつきあわなければならない。電話代もかかる。 たった10ドルのために、これほどの時間と労力と苦痛を味わわなければならないなら、もういいやと思う。面倒くさいと。 このような手法で、つまり卑怯な手法で、庶民は金を巻き上げられている。 Occupy Wall Street の運動は、この国の資本主義の体質そのものを問うている。 資本主義の行き着く先の悲劇を問うている。 資本を手にした者たちの権力ゲームの冷酷さを問うている。 この運動には目標がないと批判する人がいる。先がないと。 確かに、そうだ。 革命でも起きないかぎり、彼らの抗議は聞き入れられないだろう。 アメリカ帝国主義粉砕! と、声をあげたことに近い。 ある意味、とても過激な運動ともいえるのではないかと思う。 でも、いちばん大事なことは、声をあげたこと自体なのだと思う。 きょう、10月29日昼、初雪が降り始めました。買い物がてら近所で写真を撮って、それからもう3時間も降り続いています。今摂氏1℃ ズコッティ公園に寝泊まりしている皆はどうしているでしょう。。。。
by keiorihara
| 2011-10-30 04:19
| USA
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