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折原恵のニューヨーク写真日記 - New York Photo Diary by Kei Orihara

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2015年 11月 19日

アフリカン アメリカン African American


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Hip-Hop dancer/ Union Square, Manhattan 


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Captain America/  Subway G line, Queens


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Women with a catchy rhythm/ Green Point, Brooklyn


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WHERE ARE YOU/ Subway in Brooklyn


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"Where are you, daddy?"/ Green Point, Brooklyn


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Where are you going? / Subway in Brooklyn


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War never ends./ Green Point, Brooklyn


お気づきの方も多いかと思いますが、このブログの写真はクイーンズ、とくに私の住むサニーサイドを中心に展開してきましたので、アメリカのもっともアメリカ的な人びと、アフリカンアメリカンがあまり登場してきませんでした。

クイーンズは一言でいえば、ふつうの勤め人、労働者が、ふつうに家庭を営んで暮らすところのように思います。ほかの区に比べてアジア人が多く、人口の50%以上が外国生まれ(!)の新移民、というのも特徴です。

昔、短期にマンハッタンのイーストビレッジに住んでいたころ、クイーンズにはまったく興味がなく、多分一度も行ったことがなかったように思います。つまりイメージとして、ふつうの人たちが住む野暮ったいところで、とくにわざわざ見に行くこともないと思っていたわけです。
たしかにカッコいい人たちがあまり歩いていない。その一因に、アーティストと黒人があまりいない(とくにヒップな黒人が)ということがあるかもしれません。ブルックリンとブロンクスには、その他の3区の2倍、黒人がいます。
もちろん、百カ国以上の言語が話されているクイーンズには、それなりの面白さがあるし知的好奇心もわきます。
しかしニューヨーク市には全人口の25%アフリカンアメリカンが住んでいますが、ストリートに刺激やリズムを与えてくれるのは、やはり一番はアフリカンアメリカンではないでしょうか。

去年から今年にかけて、警察官が無実の黒人を路上で殺す、という事件が相次いで、全国的にデモが起きましたが、大きな黒人暴動に発展することもなく、黒人運動が組織されることもなく、静かに収束されてしまいました。
ラジオなどのメディアのインタビューでも語られていたことですが、これは氷山の一角、こんなことは日常茶飯に起こっていることのようです。
黒人というだけで、犯罪者扱いされても殺されても、高い弁護士料を払えない黒人は泣き寝入りです。

実際わたしの女友達のボーイフレンドが、まったく根も葉もない容疑で殺人未遂の罪に問われ、アリバイが証明出来ず、でっちあげのDNA鑑定によって12年の刑を受け、服役中なのです。
被害者は隣のビルの、見たことも聞いたこともない知らない白人女性。
ダンスセラピストであるわたしの友人は、その日は研修合宿のために家を空けていて、合鍵をもっていた彼が彼女の部屋にひとりでいたところ、警官が来て職務質問され、連行されてそれっきり。
彼女はその後、裁判に向けて弁護士などの件で奔走したけれど、でっちあげのDNA鑑定には勝てなかったそうです。
その被害女性は、顔を見てないので誰だかわからないと言っているし、根拠というのがDNA 以外にないのですが、自分の成績を上げるために、警察はやりたい放題のようです。
こういう事件では、必ず被害者が白人でなければなりません。陪審員たちにとって、加害者は黒人、被害者は白人、というのが納得しやすいからです。

ニューヨーク市の代表的な公共ラジオ局WNYCでは、事件やニュースからタイムリーに問題を掘り下げるために、ロングインタビューをよくやっていますが、ある日、アフリカンアメリカンの大学の先生がインタビューで、黒人であるということはこういう毎日を送っていることなのだと、静かな口調でたんたんと語っていました。

「毎日、肌の色だけで脅かされている感じです。わたしは男だし身体も小さい方ではないので、これは黒人みんなの経験ではないかもしれませんが、歩いているだけで、何をしているのだという目で見られることが日常です。
...銀行でお金を下ろしていると、横にいる白人の娘に、後ろから白人の連れが早くしろ早くしろとせき立てる。被害妄想ではありません、わたしにそれとわかるようなニュアンスで言葉を使っている。わたしにたいして、そんなふうに言ったり思ったりしたら失礼だという気持ちはまったくなく、その反対で、わざわざ伝えているのです。
...エレベーターに一人で乗っていると、次の階で乗ってくる人に緊張が走るのがわかる。そんなときは『黒人ですみません』という気持ちになります」

ネイティヴアメリカンの問題も含めて、アメリカとは、途方もない試練をもった国だと思う。
しかし、どんなことも公の場で話されている。
開いてないドアは、開かれなければならない、そう信じる人たちの国でもあるのです。

by keiorihara | 2015-11-19 15:06 | New York


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